midunolog

日記を書きたい

ブルーアーカイブのはなし

アニメ調のCGと、ピコピコ系のBGM、22年の年始に公開されたシナリオがすごいみたいな事前知識しかなく、たまに電車広告で見かけたり、エロゲクラスタが好きそうな話だ的な意見をSNSで見てふーんと思っていた。

凝ったシナリオへの興味とか、久しぶりにソシャゲやってみようかという気もあり初めて2週間程度で公開済みのストーリーを読み終えたので、ネタバレ感想を書いておこうと思う。

序盤の動機としては3章のエデン条約編見たさで進めていて、途中で攻略に詰まって4日くらいレベル上げに費やすことになったのが厳しかった。そこ以外は特に詰まる部分もなく、1章2章はほとんどななめ読みでなんとなく進めていたらたどり着いたという感じ。個人的には4章がわりと好きで、作中主人公である先生と、生徒の距離感が良かった。相手の主義主張を汲んで干渉しすぎず、必要なだけのおせっかいを提供する感じがよかった。最終章で助けに来てくれるのもいいよね…

シナリオがすごいと言われていたので、壮大な伏線回収とか作中設定を逆手にとった展開とかイメージしていたのだけれど、本作は大事なところでは結構勢いでどうにかするタイプの作品だったように思う。そもそも作中の世界観設定について深く言及されないし、主人公である先生は知っていてもプレイヤーは知らない情報も多い。とにかく演出力の高さが特徴で、CGや音楽、戦闘システムを駆使して苦難をどうにかする演出が展開されており、ある程度の論理的な展開や動機を期待して読み始めると肩透かしを食らうと思う。
なんというか古き良き少年漫画的なストーリーっぽくて、少女が二人手を繋いだら奇跡が起こって助かったぜ!とかまさにそんな感じ。

ストーリー3章24話で、急に用意されたキャラではなく、手持ちの自キャラを使った戦闘が発生してしまい、そこで進行に詰まったことが印象に深かった。一方で、これまでのストーリーにない展開がある事自体が、新鮮で良かったとも思う。
また、最終章で絆バフなる要素が出てきたのも印象深い。これまで長く遊んでいた人からしたらすごく嬉しい設定だと思う。簡単に言うと時間的リソース貢ぎまくった推しほど強力なサポートを得られる展開になっていて、ポケモンで例えると四天王戦でサトシが最後にピカチュウ出して勝つイメージ。
ただ、自分のような新規はせいぜい推しの1,2人が少し育っているくらいだったので、素直に助っ人を借りて突破することになったのは切なかった。助っ人システム使えるようにしてくれたのは大変ありがたかったけど、せっかくなら育ったみんなと一緒に勝ちたかったよね、、

それでいうと総力戦の大ボスが出てくるのも、最終章らしくてアツい展開…だと思うんだけど、3体くらい初見のボスがいて全然なにをどうしたらいいかわからないのがもったいなかったな…こういうのも含めて、コンテンツを長く遊んでいるかどうかでシナリオに対する評価が変わるところだと思う。

最終章でどう締めるのかなと思ってたら宇宙戦艦出てきたのは、あれなんなんでしょうかね、、たぶん誰かの趣味だと思うんだけど、急に話のスケールが大きくなってびっくりしてしまった。お話は良かったんだけど、大テーマである学園とは…青春とは…という感じ。まぁそのへんは3章でやりきった感ありそうだけど。

宇宙戦艦はさておき、最終章のお話の内容は良かったですね。なにか巨悪を打ち倒すような構図ではあるけれど、実態としては先生と生徒の話だったし。
特に良かったのは、ゲームシステムがうまくシナリオに組み込まれているのがアプリゲームシナリオらしくてすごく良いと思う。一般的なノベルゲームだと、用意された選択肢から、自分の意見に近しいものを選択するしか能動的な干渉ができないんだけど、これがインタラクティブなゲームだと「プレイヤーが自分の意志で行動しているように思える操作」ができるので、そういうアプリゲームならではの要素が内包されていて良かった。

クリア後に起動画面が変わるところとか完全にノベルゲームクラスタ御用達の好きなやつですよね。自分は透明感のある初期の起動画面が好きだけど、2年以上このゲームあそんでた人からしたら良い演出に思えるのではないだろうか。とにかくこれまで遊んでくれたプレイヤーへの配慮が随所に感じられて好印象だった。

まだまだストーリーを追加できる余地はありつつも、スタッフロール流れて一区切りはついたので、これで一旦読み終えたと言っていいと思う。最初に期待したような展開ではなかったけれど、ちゃんと心が動かされるようなシーンはあったし、はじめたてでそれだけ思えるということは、これまで遊んでた人からするとすごくよい締め方に感じたのではないかなと思う。そういうのが集まって、短い文章として表層化したものがSNSで見かけたいくつかの意見なのかなというのが振り返ってわかる。

シナリオが一区切りついたので、ひとまず新規登録ボーナス的なものは終わるまではゲームを続けてみようと思っている。またお話が追加されたころまで続けているかはわからないけれど、とくに急いで進める必要もなくなったので、こんどはのんびり続けていきたいですね。

ナツノカナタ、EDまで

Steam で無料で公開中の、テキストアドベンチャーゲーム「ナツノカナタ」をプレイして、エンディングまで見た。 本編の内容に触れて感想を残すので、以下サイトをみて興味をもったり、Steam のプレイ環境があるひとは、先に自分でプレイしてみてほしい。

natsuno-kanata.online


(改行を長めに入れておくので、感想見たい場合はスクロールしてください)
























昨今のインディーズゲームは数あれど、無料で公開してくれているのは珍しいと思う。公式サイトを見ても、プレイ時間は 6~10 時間とされていて、テキストアドベンチャーゲームとしては十分長いと思う。
実際ぼくはエンディングまでに10時間かかった。

システム面は決して使いやすいとはいえないものの、使いにくい・不便で不満だという点は見当たらない、必要十分なつくりになっている。あっでも強いて言うなら、テキスト入力欄に入力された文字列をマウスドラッグで選択すると、クリック扱いになって本文が進んでしまう挙動は気になったな。。まぁでもほとんど問題なく遊べるし、遊んでいる最中に気にならない仕上がりで良かった。

あとは、BGMが特に良かった。夏の爽やかなイメージとして、アコギ調のギターやピアノが使われていたり、ともすればアンビエントなカテゴライズの難しい謎のBGMまであったりと多彩で魅力的な音楽が印象的だった。ただ、ストーリーの展開上、後半は重めのBGMがずっと流れてて、それをずっと聞くことになるのはしんどかったかもしれない。

さて、肝心のシナリオについて、エンディングまで進めるだけだと、消化不良感があるなと思った。結局すべて偶然だとするなら、終わらせるのではなく続けることにしてみよう。続けることに決めたから、そうしよう以上の話でしかなくて、ただ決めるまでに紆余曲折あった話なのかなぁという感じ。驚きの事実とか、論理的な理由みたいなのが無かったのは全然いいと思ってるし腑に落ちているので、特に問題視していない(が、まぁ正直無料ゲームだから納得している側面も大いにある)

ただ、その意思決定に至るまでに3章くらいかけていたと記憶していて、その3章の間、とくにメインストーリーが進んでいるように思えない、なんか悩んでて不幸なことが起きてとくに改善されないし解決策もみつからなくて不安を吐露するだけの展開が続いたのがつらかった。
AUTO にしてたので、なんかずっとキャラが「…」って言ってて、話が進まないなー、BGMはずっと重めの曲が流れていて、でも特にプレイヤーとしてできることもないし、ただ目の前の文章が進むのを待つしかないのが結構つらかった。
いまはまだエンディングまでしかやっていないので、あの夢空間や、アカネさんの感染がどう伏線として展開されていくのかわからないけれど、エンディングだけを見るなら、あの間のイベントは必要だったのか?という気になってしまった。

とまぁ散々書いたけれど、シナリオの展開でもちろん面白いところもあった。というか面白いところのほうが多かったので、それについても触れておきたい。

まず、プレイヤーが視点移入している主人公サイドの世界観が、いわゆるプレイヤーサイドのリアルな世界観とは異なることに驚いた。
背景にほとんど実写?のような画像がつかわれていたので、なんとなく勝手に、あぁ現代社会のどこかアパートの一室でパソコン見てる設定なんだなと思っていたけど、読み進めるうちに、むしろプレイヤーサイドの世界観は、ナツノサイドの世界に近く、主人公サイドの世界観こそが異質であるという叙述トリック的な展開に驚いた。中盤で露呈するこの展開が一番の肝な気がする。ファンタジーやフィクションだと思っていた世界のほうが、現実のプレイヤーの世界に近くて、自分の主観で読み進めている語り手の主人公サイド世界のほうが異質であるという設定が良かった。

あとはやっぱりエンディング後のCパートに、物語冒頭の探索パートをやらされて、そこであっこんなこと最初にあったなーって思い出したり、ナツノさんにまた起動して会いに来てね的なことを言われたのがめちゃくちゃによかったな…。もうそれだけで、これまでの展開うんぬんがどうでもよくなるくらいに良かった。

この作品は、プレイヤーから見たメタ情報の使い方がすごく上手で、メタっぽく見せて全然違うことをあとから開示したり、メタっぽいアプローチをうまく世界観に盛り込んで、キャラクターに言わせたりプレイヤーに操作させたりしていて、そこが本当にすごいしこのゲームの面白いところだと感じる。

総じて無料ゲームから想像できる品質やボリュームのそれからはかけ離れた意欲作だと思う。いやこれ絶対に意欲ドリブンで作られてるでしょ。アーリーアクセス出したり、フルボリューム版のリリースである8月からごく最近までこまめにバグ修正や追加コンテンツをリリースしたりしていて、意欲がすごい。買い切りゲームですらないのに、継続的にアップデートされてるの、そうそう無いと思う。

以前からストアでサムネイルだけは見かけていたけど、商品ページはひらいたことなくて、どうせポチポチ進めるだけのストーリーゲームでしょと思っていたが、ぜんぜんそうではなかった。

エンディングまでプレイしたけど、まだエンディング後の要素があるらしくて本当にすごいボリューム、作り込みだなと思う。起動画面の変化もちゃんとあって良い。なんならまだ実装されていないキャラストーリーもあるみたいで、まだまだシナリオを読めるのが楽しみだ。

プレイ後、Steam のアップデートログを眺めていたら、ログボがあるらしいことに気づいたときは笑ってしまった。そういうところも設定に絡めてくるのが本当に上手い。
とりあえず今はアップデートを待ちつつ、折に触れてコンピューターを起動して、あの娘に会いにいくのも悪くないなという気持ちになっている