midunolog

日記を書きたい

廊下の匂い

今晩は鶏肉をどう調理して食べようかなぁと考えながら、アパートの廊下を通る。  

ぼくの部屋は8号室と遠く、手前のいくつかの部屋の通気口からは風呂の匂いや、芳香剤、料理の匂いがする。

一瞬カレーの匂いがして、それを認識した瞬間にカレーが食べたい気分になった。カレーが食べたくなったけど、しかし冷蔵庫には鶏肉があるので鶏肉を食べるほかない。

そんなこと考えながら自宅のドアを開けて帰宅する。あらかじめ漬け込んだ鶏肉を調理しながら、今カレーを食べている人や、お風呂に入っている人が同じ水平軸にいるのだなぁと思うと、当たり前のことなのに、なんだか不思議な気持ちになる。  

ただの廊下の匂いだけで、自分の認識してる空間が広くなったような感覚が生まれて面白い。そんなこと考えてたら、隣の部屋のドアが閉まる音が聞こえた。  

もしかして、お隣さんの帰り道にも漬け込んだ鶏肉の匂いがしてるのかなぁと(そして鶏肉食べたくなるのかなぁと)考えると、ちょっと申し訳ないような、それでいてやっぱり不思議な気持ちがした。